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岡目八目

読売新聞 2005/07/25掲載
梅沢由香里さん

(2)真剣に取り組む姿、心うたれる(寄稿連載)

 主人がスポーツ選手だからというわけでもないが、スポーツ観戦が大好きだ。スタジアムまで足を運ぶこともあるが、家で楽な格好をしながら言いたいことを言ってテレビで日本代表の試合を観(み)るのは本当に楽しい。しかも我が家はオリジナルの解説つきである。
 スポーツというものはどうしてこうも楽しませてくれるのだろう。気が付けばすっかり感情移入し、興奮している。面白いぐらい活躍してくれる選手にはすっかりファンになってくる。
 しかし主人の応援に行くのは、楽しいのだが非常に緊張する。やっている本人は夢中で意外に冷静なんだよ、と聞いていても、ゴールキーパーを応援するというのは微妙な心境だ。ボールが来なければ来ないで活躍の機会が少ないし、だからといってしょっちゅう来るのもちょっとのミスが失点につながるだけに、ドキドキハラハラだ。しかもテレビに映るときはほとんどの確率で失点シーン。大変なポジションだ。
 実は緊張するのは主人の試合だけではない。どんな試合を観るときも、分野は違えど私自身一プレーヤーなので、あの開始前の緊張感やプレッシャーなどがわかるだけに、いろんなものが伝わってくる。笑っちゃうかもしれないが観戦するのも少し勇気がいるのである。
 人が真剣に取り組む姿というのは、本当に心うたれる。特に必死になっていればいるほど、思いが伝わり心動かされる。そしてその姿に自分も頑張ろうと勇気付けられるのだ。
 彼らに比べれば地味だが私たちもプレーヤー。棋士にもそんな思いを抱いてくれる人もいるのかもしれない。
 私も一棋士。一番嬉(うれ)しいのは思い入れのある一局を必死に戦い、少しでも良い碁を打ち、できれば良い結果が出せたとき。そしてその思いをファンの人や仲間と分かち合えるとまた喜びが増すのだ。もう30歳をすっかり過ぎてしまったが……まだまだ私も夢を見ているのである。
(囲碁棋士、五段)
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