上達の指南
(3)最後まで読み切ること
(寄稿連載 2012/04/24読売新聞掲載) 四路盤の特徴は「最後まで読み切ることができる」点でしょう。詰碁だとコウやセキとなった時点で終わりですが、四路盤なら「そのコウの結末は」とか「セキになって、どちらの何目勝ち」というところまで結論を出すことができるのです。
今回の2問もコウとセキが絡んでいます。最後まで読み切ってください。
【第1問】 強い人ほどだまされてしまうかも。
【失敗図】 黒1のツケは筋っぽい手ですが、白2、4でセキとなり、ジゴでは失敗です。また黒1で2は白A、黒3、白1、黒4までセキ。アゲハマが1個ずつで、やはりジゴ。
【正解図】 愚直な黒1、3が正解です。白4に黒5と抜いてセキですが、黒にはアゲハマが1個あるので1目勝ち。白2で3なら黒2、白A、黒4と抜き、白にはコウ立てがありません。
【第2問】 白の好手も含めて最終結論を出してください。
【正解図1】 黒1、3はこれに限ります。対して白Aなら3の左についで勝ちですが、これは白の抵抗不足。白4とへこむ手が発見できるかどうかがポイントです。
【正解図2】 続いて、黒1の放り込みから3とつぐのが好手。白はコウ立てがないので白4とつぐよりありませんが、そこで黒5とセキにすれば、アゲハマが2対1なので1目勝ちです。
ここまで読めて初めて正解。黒1で単に3は白5とされ、黒はコウ立てがないので1と打てず、ジゴとなってしまいます。
<泉美からのひと言> 前に2歳の次女について「囲碁のルールはまだ分からない」と書きましたが、実は当たりは理解しているようなのです。これも四路盤効果と驚いています。
●メモ● 張栩夫妻は2人の娘に、囲碁だけでなく、様々なパズルやゲームに取り組むように教えている。張栩棋聖が幼少時、両親から多くのパズルやゲームを教えられたことが「今の僕の血肉となっている」体験に基づくという。「その結果、娘たちも囲碁が一番好きになってくれればいいですね」