上達の指南

マイケル・レドモンド九段の「短手数定石その後」

(4)打ち込みの位置で大差

(寄稿連載 2013/09/10読売新聞掲載)

 定石に強くなるコツは、覚えた定石を実戦で使ってみることです。定石の運用法や利点が分かってきて、自分のものになってくるものです。

 【テーマ図】 白8のカカリから10と星に構えるのは足早な軽い打ち方で、これも定石の一種でしょう。続いて白イを許すと理想形になるので、黒11の詰めを急ぎます。白は手を抜くのが普通で、問題は黒がどう始末をつけるかです。

 【1図】 黒1と高く打ち込むのが正解で、白2のツケには黒3、5と渡ってしまう。白6、8と変化するのがくせ者ですが、断固、黒9と伸びるのがポイント。白10以下黒17まで、黒の打ち込み大成功です。

 【2図】 黒1に白2の飛びなら黒も3と飛び、白4に黒5と締まって好調な運びです。白Aとつけても黒Bに伸びれば、白の連絡は不可能です。

 【3図】 黒1と低いのは白2のツケがよく、黒3以下白8のカケツギまで一本道。黒はわずかに地を稼いだものの、薄かった白が立派な厚みとなって、打ち込みは失敗です。

 【4図】 打ち込みを嫌って、何か守ろうとしても適切な手がないのが白の悩みです。白1なら防げますが、いかにも働きのない形。これなら△で1と低く開き、▲の詰めにAと守っている方がいいくらいです。
 白1でBでも似たようなものですし、Cでも黒Aの防ぎにはなっていません。
(おわり)

●メモ● レドモンド九段は5年ほど前から千葉の自宅で家庭菜園に取り組んでいる。プチトマトから始め、いろいろと試してみた。ゴーヤはカーテン代わりにもなり、重宝しているという。近いうちにジャガイモにも挑戦するつもり。家庭菜園の腕前は、「定石をよく知らないので10級くらいか」。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】