上達の指南
(1)相手のフトコロを狭める
(寄稿連載 2018/07/25読売新聞掲載)棋力向上のためには何をすべきか? アマチュアの皆さんからよく受ける質問ですが、僕は「詰碁をしてください」と答えるようにしています。
簡単な問題で構いません。それを繰り返し解くことによって「詰碁の原則」が理解できるようになるのです。これから4回にわたり、その原則についてお話ししていきましょう。
第一の原則は「相手のフトコロを狭めて殺す」です。
【第1問】基本中の基本。黒1、3のコンビネーションで仕留めてください。
〈1図〉黒1のハネで白のフトコロを狭め、白2ののち黒3の急所へ一撃。典型的な五目ナカデに導いて仕留めました。
〈2図〉黒1のツケは、白2から4のホウリ込みでコウとされます。黒3で4は白3、黒Aの後手ゼキで、さらに失敗。
〈3図〉黒1のオキも、白2から黒5の後手ゼキです。
【第2問】初手の候補がいくつか浮かぶかもしれませんが、正解手はただひとつです。
〈4図〉黒1とここをはねるのが正解。白2と換わったのち黒3とこちらをはねれば、白に二眼のスペースがありません。
〈5図〉先に黒1とはねると白2に押さえられ、黒3に白4で生きられてしまいます。
〈6図〉黒1と内から動くのは、白2と下がられ失敗。黒3に白4と抜かれ、1の左の眼持ちとAが見合いで白生きです。
詰碁は「相手のフトコロを狭める」ことから考えましょう。
●メモ● 安達利昌五段は小松英樹九段門下の27歳。東京都出身。ここ数年で十段戦本戦に2度、王座戦本戦に1度進出するなど、徐々に頭角を現し始めている若手で、2015~16年には15連勝を果たし、棋道賞の連勝賞を受賞している。戦って勝つ碁を志向する力戦家で、序盤でのユニークな着手も多い。