上達の指南
(3)ダメヅマリ 生死に直結
(寄稿連載 2018/08/08読売新聞掲載)詰碁における三大原則の三番目は「ダメヅマリを衝(つ)いて殺す」です。
ダメヅマリは時として信じられない悲劇を招きますが、死活においてそれは顕著で、ダメ一つの差が石の生死に直結するケースは数知れず。ダメヅマリに対し敏感になることが詰碁の能力を向上させる最大のエッセンスだと言っていいでしょう。
【第1問】シンプルな形の基本詰碁です。
<1図>黒1のオキは、死活で急所となることが多い「2の一」ですが、この詰碁では失敗。白2から4と放り込まれ、コウで粘られてしまうのです。
<2図>黒1のツケが正解。この手が白のダメヅマリを衝く急所なのです。
<3図>白1には黒2が肝心で、白はダメヅマリのためAと打てません。白の二眼を阻止し仕留めることができました。
ちなみに、もし外ダメが一つでも空いていたら、1図のコウが正解となります。
【第2問】白のフトコロが広く映るかもしれませんが、黒の手筋であっけなく陥落します。
<4図>黒1のハネには白2のカケツギが好手。これは白の生き形です。
<5図>黒1のオキは白2とつがれて失敗。黒3、5としても、これはセキです。
また黒3で4、白A、黒3は白Bでコウとされ、やはり失敗。
<6図>黒1の切りが正解です。白2に対する黒3の下がりに気づくかどうかがポイントで、白のダメヅマリを衝き「押す手なし」の死に導きました。
白2で3なら、やはり黒2の下がりが好手です。
●メモ● 27歳の安達五段は最近、対局の後半で疲れを感じることが多くなってきたという。その対策としてスポーツジムに通い始めた。軽い筋力トレーニングとランニングが主なメニュー。すぐに効果が出ているわけではないが、「将来のためにもコツコツと続けていくつもりです」。