上達の指南
(4)合わせ技で仕留める
(寄稿連載 2018/08/15読売新聞掲載)過去3回、詰碁で正解を得るための特効薬として「フトコロを狭める」「急所に直行」「ダメヅマリを衝く」の三大原則を挙げてきました。
最終回となる今回は、そのまとめとして「複合技で殺す」に挑戦していただきましょう。
【第1問】実戦形です。1分以内で解ければ、有段者の力があると言えるでしょう。
<1図>黒1のサガリは踏み込み不足。白2に黒3とツケても、白4から8までの万年コウで粘られてしまいます。
<2図>黒1、3とはねつぎ、白のフトコロを狭めることから始めます。
<3図>白1のサガリに黒2のオキが急所。白3に黒4と切れば、白はダメヅマリです。
【第2問】黒が繰り出すコンビネーションが鮮やか。解けた時の爽快感が抜群です。
<4図>黒1、3は白のフトコロを狭めてはいますが、この場合は失敗です。白4で生き形。黒1が悪手でした。
<5図>黒1とはねて白2と換わり、そこで黒3のツケが急所です。白4に黒5の放り込みが手筋で、見事に仕留めることができました。白4でAなら黒Bと割り込んで白死です。
<6図>単に黒1のツケだと白2が好手。黒3には白4、6とされ、オシツブシの筋で生きられます。
第1問も第2問も「フトコロを狭めて、ダメヅマリを衝く急所の一撃」という点で共通しています。どんな複雑な詰碁でも、この大原則に沿っているケースが多いのです。(おわり)
●メモ● 「安達五段は、今期の棋聖戦Cリーグで4連勝と快進撃を続けており、あと1勝で優勝というところまで迫っている。優勝決定戦は、若手の有望株である大西竜平三段(18)との対戦だ。挑戦者決定トーナメント進出を決めることができるか、注目の一戦となる。