上達の指南

秋山次郎八段の「アジア大会特選譜」

(4)最後の出番で「銅」に貢献

(寄稿連載 2011/03/22読売新聞掲載)

 今大会、私は六番手という位置付けでした。要は控え選手ということで、いつ出番がやってくるか分からない立場です。
 チームが「最大の勝負所」と考えていた対中国、対韓国戦でも出場機会はありませんでした。モチベーションの維持で苦しみ、「あぁ、チームスポーツの控え選手は、こういう気持ちなんだろうな」と思ったものです。
 でも、そんな中で自分に言い聞かせていたのは、「いつ出番があってもいいように、万全の準備だけはしておこう」ということでした。自分にとってのベストを尽くすだけ。そう思うしかなかったのです。
 そんな私をチームの皆が気遣ってくれたのでしょう。最終日、台湾との3位決定戦に出場することになりました。相手は、世界戦で優勝実績もある"台湾の英雄"周俊勲九段です。棋譜でしか見たことのない強豪との対戦に胸が躍りました。

 【テーマ図】 上辺の黒地のまとまり具合が勝負ですが、白1と5という二つの割り込みが決め手になりました。

 【1図】 白は、黒模様のどこか一部でも破れば成功です。妥協できない黒は1の切りですが、ここで白には2とはねる手があります。黒9まで白ピンチと映るかもしれませんが――。

 【2図】 白1から3とハネ出し、手になっています。白17と生きたところで周さんが投了。銅メダルに貢献することができ、ほっと胸をなで下ろしました。
(おわり)

●メモ● 秋山八段の昨年の成績は17勝14敗。今月3日、名古屋に遠征し、中根直行八段と第36期棋聖戦最終予選決勝を戦い、先番中押し勝ちしてリーグ復帰を決めた。第34期(4勝1敗=2位)、第35期(1勝4敗=陥落)から3期連続の在籍となる。NHK杯は準決勝まで進出した。

白 八段 秋山次郎
黒 九段 周俊勲

【テーマ図】
【1図】
【2図】