上達の指南

安斎伸彰七段の「新研究の有力秘策」

(2)コスミツケ 意外に効果的

(寄稿連載 2018/06/06読売新聞掲載)

 今回も、アマチュアの皆さんにあまり知られていない新しい秘策をご紹介しましょう。

 【テーマ図】白6の一間トビに黒15と詰められた場面を考えていきます。白の立場でスソアキが気になる方におすすめの打ち方です。

 【1図】まず白1と一間に挟み、黒2と飛んだときに、白3とコスミツケます。これが意外に有力なのです。

 続いて黒4から白7までと先手で渡りを止められてつらいと感じる方がいるかもしれませんが、スソアキが止まりましたし、白Aの切り取りという確実に約束された眼形があります。逆に黒は薄くなりました。すでに白が成功しています。黒4でBのブツカリも白Cと左上を強くして白よしです。

 【2図】1図の白3に続いて、部分的には黒1の下がりが一番筋がよいのですが、白2でやはり白満足。白9のワリコミを心配して黒8と当て込むと白7で1図と同じような結果です。黒3が心配かもしれませんが、白2と先に得をしているので、白10まで治まれば白よしです。

 黒がすぐに遮ってくれば、白1、3は必ず成功するのです。

 【3図】プロは、1図の白3のとき手を抜きます。部分的な後の狙いは黒1のノゾキで、白2とつないだりすると、黒7まで利かされて白が大変です。

 【4図】▲には白1の押しが正しい対応。黒2以降、白は堂々と受け白11までと応じれば、自然と黒もぼろついてきますので、白は全く不満がありません。

●メモ● 安斎七段は、17歳で入段した。弟弟子の一力遼八段、平田智也七段らと着実に力を伸ばし、2011年には若手非公式戦の「おかげ杯」で優勝。新人王戦は惜しくも準優勝だった。近年は明快な解説にも定評があり、今年1月に「囲碁AIが変えた新しい布石・定石の考え方」(マイナビ出版)を上梓した。

【テーマ図】
【1図】
【2図】

【3図】
【4図】