上達の指南

安斎伸彰七段の「新研究の有力秘策」

(4)AI流消し 逆襲で対抗

(寄稿連載 2018/06/20読売新聞掲載)

 新しい研究の中でも、皆さんの実戦によくできそうな形を集めて秘策を紹介してきました。最終回はAI(人工知能)流の手に挑みましょう。

 【テーマ図】黒19と肩をついた場面です。AIが得意とする手で、最近はやっていますが、こう打てば軽く消せると思い込んでいる人を許さない、というのが今回のテーマです。続いて白A、黒Bを想定しているのでしょうが……。

 【1図】実は、白1と逆襲する手もあることをお知らせしたい。消しにきたということは、周囲に白石が多いはず。逆襲の手が成立するパターンが多いのです。例えば、黒2には白3と押し上げ、明らかに左辺は白の勢力圏。力関係的に黒が大変です。黒2でAの変化も白Bで持ち込みになりそうです。

 【2図】黒1なら白2とはって、黒3まで、△の位置が黒の急所にきています。白6まで、この図も黒が大変そうです。

 【3図】黒1のコスミも、白8までとなれば、いつの間にかかなり左辺の白地が固まっています。下辺の白1子は、渡りも残っており、どちらかと言えば黒の方が心配な石です。

 【4図】黒は直接動き出してもよい結果が得られないので、1などと少しはずして打つことになりそうです。一案として、白は2、4とある程度の勢力を確保しつつ、競り合っていく手があり、いい勝負です。白2では他に、Aと攻めを続ける手や、Bと遠巻きに黒をにらむ手などの選択肢があります。(おわり)

●メモ● 「趣味は、結局ボードゲームに戻ってきてしまいました」と安斎七段。将棋は自称1級、オセロは初段の腕前だという。昨年は「グロービス・トライボーディアン日本選手権」(囲碁・将棋・オセロの3種で競う大会)に初めて参戦し、見事3位入賞を果たしたという。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】