上達の指南

青葉かおり四段の「賢いオオカミであれ」

(3)自分の弱点に気をつける

(寄稿連載 2015/07/14読売新聞掲載)

 攻めが苦手な方には、心配性の小羊タイプと、自分の弱点を顧みない無謀なオオカミタイプがあるようです。賢い攻めが大切です。

 【テーマ図】 白が△に開いた場面です。黒は右下の定石選択が疑問で、本来、厚みになるはずの右下の一団が少し薄くなっています。ここからどう打てばよいでしょうか。

 【1図】 黒1は小羊タイプ。おびえて黒7までと自分を固めましたが、逆に相手をものすごく強くしてしまいました。
 このように恐怖が先に立つと失敗するもの。相手を攻めていく気持ちが大切です。

 【2図】 黒1は無謀なオオカミタイプ。かさにかかって攻めるつもりでも、白2と打たれてみると右下の黒がますます弱くなってしまいます。
 攻めるときは、自分の弱点を探すことが重要です。そのうえで攻める方向を決めるのがポイント。弱い石から動くのがよい方向です。

 【3図】 黒1は行き過ぎ。白Aと子羊のようにおびえてくれればよいのですが、白2、4と反撃されると黒は分断されてしまいます。

 【4図】 黒1が賢いオオカミらしいよい攻めです。弱い石から動き、切断されないように自分の弱点に気をつけながら、相手にプレッシャーをかけています。黒5まで、白を簡単には治まらせません。攻めから主導権を握りました。

●メモ● 青葉四段は、外資系企業に勤める夫の転勤に同行し、2013年まで3年間、米国、香港、欧州で過ごし、現地で普及活動を展開した。スイス・ジュネーブでは公園に地元学生のデザインによる大きな碁盤が設置され、囲碁が大人気だったという。「青空の下の対局は新鮮でした」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】