上達の指南

青葉かおり四段の「賢いオオカミであれ」

(4)サバキを封じる攻め

(寄稿連載 2015/07/21読売新聞掲載)

 常に狙いを持つことが大切です。オオカミのように相手を脅すぐらいの気持ちが大事なのです。

 【テーマ図】 左辺と右辺とにふたつの問題です。いずれもアマチュアの実戦譜です。白はさばきに来ているのですが、黒としてはいやなところです。自信をもって攻めましょう。

 【1図】 まず、左辺から。実戦の黒1は漫然と打っただけ。攻めになっていません。その結果、白10まで、圧倒的に弱かったはずの白が、頑丈な強い石に成長してしまいました。直接働きかけると、相手も強くなってしまうのです。

 【2図】 黒1のように遠巻きに攻めるのがテクニック。自分の弱い辺の石から動くのがポイントです。白は逃げてもよいことがありません。

 【3図】 今度は右辺です。△と二間飛びしたところです。黒1はいい。しかしその後、3と白を分断しようとする方が多いのですが、これも性急。白12まで、黒の少しの利益より、右辺の被害の方がはるかに大きい結果です。

 【4図】 黒1と自分の石を強くしたら、その強い黒に相手の石を押しつけるように、黒3と背後から迫るのが賢い攻めです。黒7まで白は依然として弱く、黒は攻めながら上辺一帯の模様を広げることに成功です。
 思いは盤上に表れます。局面をよく見て、工夫しながら賢いオオカミに一歩ずつ近づいてください。
(おわり)

●メモ● 青葉四段の趣味はマラソン。「ロンドン滞在中にはまりました」。地中海にあるマルタ島で開催されたハーフマラソンで完走した経験もある。最近も観光を兼ねて半年に1回のペースで各地の大会に出場している。「走るのは遅いんです。参加することに意義があると思っています」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】