上達の指南
(1)どんどん広げて楽しく
(寄稿連載 2008/08/04読売新聞掲載) 毎日暑いですね。今週から4回にわたって、私の碁を見ていただくことになりました。棋風は厚いのが好きで、実利はあまりこだわりません。共感を持っていただけるアマチュアの方も多いかもしれませんね。
【テーマ図】 正官庄杯という日中韓3か国の女流団体戦から。勝ち抜き戦で、相手は韓国の金世實二段。この碁に勝って3連勝しました。
私の黒番で、黒1から3と押して、どんどん広げました。こういうのは楽しいですよね。黒15の伸びに、白16と付き合ってくれたのは意外でした。黒17と囲えては、厚いのが好きな私じゃなくても気分がいいでしょう。白16では、白Aと様子を見てくると思いました。黒Bと詰めて攻めますが、白はすぐに動かないで、中央Cあたりから消してくるかもしれません。難しい碁だと思っていました。
【1図】 テーマ図の後、白1あたりからくすぐって、今が模様を消しにくる最後のチャンスでしょう。絶対入ってくると思ってました。
【2図】 実戦は、白1と右上にカカってきました。黒2、4のツケ引きを決めて、黒6と模様を完成させては快調です。もう白7、黒8を利かすくらいですが、これでは黒が満足です。厚い碁も好きですし、模様を囲うのも好きですから、楽しい1局になりました。
●メモ● 青木八段は1968年5月24日生まれ。菊池康郎氏が主宰する緑星学園出身。86年入段、00年八段。90年女流名人を獲得し、初タイトル。女流名人通算5期。ほかに女流鶴聖、女流最強位など獲得タイトル数は10。97年新人王戦準優勝など、男性棋士とも互角に渡り合う。