上達の指南
(4)立ち回って改心のサバキ
(寄稿連載 2008/08/25読売新聞掲載) 高梨聖健八段との一戦です。難敵です。年齢も近く強いのは分かっていますから、気合が入ります。
【テーマ図】 私の白番。この碁は、黒の厚いところで、白がうまく立ち回ってサバきました。私も攻めるばかりではありません。白1のツケからもたれるのは、よくある手筋です。黒2から4と押して黒は力強い。白3のハネから5とツケたのが好手でした。
【1図】 黒1と隅から押さえるのは、白2の抱えから4を利かしてサバけています。左方の白もそれほどイジメられることはないでしょう。
【2図】 実戦です。白1の切りから3の当てを決めて、5とカケツギました。黒6の出は当然ですが、白7の下がりから9のケイマを利かしたのがうまいでしょう。白13までくつろげてから、白15と左辺をハネ上げました。白好調です。
【3図】 続いて、黒1の切りが厳しいですが、ここで、白2のハネ込みから6と切るのがうまい手順です。そこまで決めてから、白8以下押さえ込んでいきました。黒13のツケコシから15の置きは手筋ですが、白14、16と両方シノいで、白は会心のサバキでしょう。
男性とも同じ土俵で戦える碁は、女性にとって勇気の持てる世界です。これからも、私なりに頑張っていきたいと思います。
(おわり)
●メモ● 現在の女流は、男性棋士の一流どころを負かすこともある。「以前は検討で女流は口を出しにくかった」という青木八段だが、今はレベルが上がって、男性の一流陣と一緒に検討しても、遠慮せずに意見を言えるようになった。「そうでないと強くなれませんよね」。今、女流は元気だ。