上達の指南

青木喜久代八段の「お厚いのがお好き」

(3)地がなくても中央で勝負

(寄稿連載 2008/08/18読売新聞掲載)

 第10期女流最強戦で奥田あや二段と対戦しました。奥田さん、最近強くなって、負けたのを見たことがないくらい。手がよく見える碁です。

 【テーマ図】 私の黒番。厚くて地のない私らしい碁です。中央指向で打っているのに、なぜか黒1と小さな手を打ってしまいました。本来、こういうところにこだわる碁ではないのですが。白2から4と動き出されて、この白は手に負えません。白6、8と上辺で堂々と威張られて、これではなんのために黒1と隅っこの方を打ったのか分かりません。

 【1図】 あくまで中央を大事にして、黒1と広げるべきでした。白2から4と右辺を打つなら、黒3のケイマから5と飛んで、これならスケールが大きかった。▲なんかどうでもいい。地がなくても、中央で勝負です。こういう碁を打てていれば、勝敗はともかく楽しい碁になったはずです。

 【2図】 実戦は、黒1を利かしてから、3とハネ込んで5と膨らむコウでサバこうとしましたが、これも黒1が悪手です。白8でコウを解消される手を招いてしまいました。黒7、9の連打で、ここから右下の白を猛攻しましたが、白8までの損が大きすぎました。

 中央指向の碁は、細かいことを気にしないで、あくまで真ん中で勝負しなければなりません。反省の一局です。

●メモ● 青木八段は自身の碁を、「厚いのが好きで、足の遅い碁です」という。そして「ほかの人からは力が強いと言われます。無謀だと」と笑う。「つぶしに行くより、逃がして得をして勝つのが理想です」。攻めるときは攻めて、中央指向の豪快な棋風が人気のゆえん。

【テーマ図】
【1図】
【2図】