上達の指南

青木喜久代女流棋聖の「若手女流ここが強い」

(3)じっくり打ち細かく勝つ

(寄稿連載 2012/07/17読売新聞掲載)

 鈴木六段は手が見えることで定評があります。乱暴はしないタイプで、あまり乱戦は見たことがありません。形勢判断に明るく、じっくりした碁から寄せで細かく勝つイメージです。
 彼女が四段の頃に数局打っていますが、1目半、2目半など細かく負かされ、勝った記憶がありません。改めて記録を調べてみましたら、やはり勝っていませんでした。

 【局面図】 鈴木さんとの初対局「女流プロ最強戦」の決勝戦です。黒の中国流に白6のカカリから8と開き、以下黒25の曲がりまで比較的穏やかな進行です。ここでどう来るかと見ていると――。

 【実戦図】 じっくり白1と締まり、黒2に白3、5としっかり実利を取りました。黒6にも悠然と白7と受け、白9の浅い消しから15まで、「悪くありません」と言っているようです。
 黒16とプレッシャーをかけると、丁寧に白17と受け、21の押しまで鈴木さんペースに入っています。

 【参考図1】 実戦図の白1では、右上を受けていれば普通で、黒6に白7と打ち込むくらいかと想定していました。実戦図の白17と応じたのも鈴木さんらしい手厚い打ち方です。

 【参考図2】 ここでは白1と一杯に稼ぐのも考えられるところで、黒2には白Aとつけてサバキには不自由しない形です。結局、1目半差で敗れ、鈴木さんにタイトルを進呈することになりました。

●メモ● 青木女流棋聖には、10年ほど前に発足した「青木喜久代と共に強くなる会」というファン交流会がある。当初は約40人だったが、今では100人近くになり、年2回、日本棋院を会場に開催されている。「成績が悪いときなどは顔を出すのがつらいので、よい励みになっています」

第9期女流プロ最強戦決勝
白 四段 鈴木歩
黒 八段 青木喜久代
(2007年)

【局面図】
【実戦図】
【参考図1】
【参考図2】