上達の指南

知念かおり四段の「初段をめざす手筋」

(1)相手のダメヅマリに注目

(寄稿連載 2014/05/20読売新聞掲載)

 囲碁が強くなるためにおすすめするのは、詰碁と手筋の勉強です。今回は手筋の見つけ方をお話ししましょう。
 私は子供の頃、石を取るのが大好きでした。覚えた手筋を実戦で使い、うまくいったときのうれしさは格別。皆さんにもぜひその感激を味わっていただきたいと思います。

 【テーマ図】 左辺の黒3子が白に囲まれています。実戦では「もう黒が取られたな」とあきらめてしまうことが多いのですが、黒に逆に白を取る手筋があります。
 隅の白石に注目してください。このように、相手の石がダメヅマリ(外側の黒石とのスキマがなくピッタリくっついている状態)のときは、「何か良い手があるかもしれない」と考えてみましょう。

 【1図】 黒1のハサミツケが、白のダメヅマリの弱点をつく手筋です。白は、自分の石が当たりになってしまうため、Aと打てません。白2なら黒3まで。白2で3なら黒2で打って返しです。
 黒1で3と打つのは失敗です。白からも1が急所で、眼を持たれてしまいます。「眼あり眼なし」になり、その後の攻め合いは、黒が負けてしまいます。

 【2図】 こちらは、少し難しい応用問題。黒番で白を取るにはどこに打ちますか。

 【3図】 やはり黒1が手筋。白2なら黒3以下、黒が攻め合い勝ち。白2で4なら、黒2と打ってやはり白を取れます。

●メモ● 知念四段は沖縄県宮古島市出身。時本壱九段門下。1997年に女流本因坊、2000年に女流棋聖となり、女流棋士史上初の二冠を達成。04年まで6年3か月のタイトル保持期間は、当時の最長記録。柔軟さと力強さを併せ持つ棋風で女流囲碁界をけん引してきた。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】