上達の指南
(2)捨て石使ったシボリ
(寄稿連載 2014/05/27読売新聞掲載) 取るか取られるかの攻め合いの場面では、手筋を知っているかどうかが大きなカギを握ります。前回同様「ダメヅマリ」がポイントですが、今回は相手をダメヅマリに導いていく手筋を紹介しましょう。
【テーマ図】 上辺で攻め合いが始まった場面。黒番です。ここで、普通に黒Aと詰めていくと、白Bと守られます。すると、白を取るまでにあと4手かかります。黒4子は3手で取られる形ですので、黒は攻め合いに勝てません。どう打てばよいでしょうか。
【1図】 普通に詰めていっても攻め合いに勝てないときは、手順(打つ順番)を工夫してみましょう。
黒1の割り込みが、この場合の好手です。そして、白2のとき、当たりをつがずに黒3と打つのが、黒1とセットの大事な手。捨て石を使ったシボリの手筋です。
黒5と当たりにして、白6とつがせ、白の形をダメヅマリにしている点が捨て石の効果です。白の手数が縮まって攻め合いは逆転。黒7で白を取ることができます。
【2図】 シボリの手筋を使う応用問題です。上辺の黒3子と白3子の攻め合いに勝つために、黒はどう打てばよいでしょう。
【3図】 まず、黒1と打ちます。白2と切られるのが心配かもしれませんが、ここで黒3と打つのがシボリの手筋です。黒1子を捨て石に、黒5、7までと、白を取ることに成功です。
●メモ● 知念四段は、女流本因坊・棋聖の二冠を達成した2000年に、沖縄県平良市(現・宮古島市)の市民栄誉賞を受賞。今も地元の囲碁ファンのマドンナ的存在だ。著書に「基本の手筋を学ぶ」(日本棋院)、夫・楊嘉源九段との共著「石の強弱・方向・攻防」(NHK出版)など。