上達の指南

知念かおり四段の「初段をめざす手筋」

(4)相手の地を破って分断

(寄稿連載 2014/06/10読売新聞掲載)

 手筋とは、目的を果たすための有効な一手のこと。その後の数手を合わせて手筋と呼ぶこともあります。石を取る場合に限らず、渡る手筋、しのぐ手筋など、いろいろな場面に潜んでいます。「もっとよい手はないかな」と探すように心がけてみてください。最終回は、地を破る手筋がテーマです。

 【テーマ図】 黒番です。実戦だと黒Aと打ってしまいそう。すると白Bと守られて上辺の白地が確定します。
 黒Bはよさそうですが、白Aと切られ、黒C、白D、黒Eの後、白に当たりをつがれると後続手段がありません。切られた黒は取られることになり、やはり上辺の白地が固まってしまいます。もっとよい手はないでしょうか。

 【1図】 黒1の切りから持っていき、白2に黒3と当たりにするのが手筋です。白4と守ったときに黒5と連絡すれば、白地を破ることに成功。こんな形に分断すれば快感ですね。

 【2図】 応用問題です。上辺は白地だと思い、黒Aと打ってしまいそうですが、白Bで黒はチャンスを逃しているのです。黒Bと打つと、白Aに打たれ、黒1子が当たりになるため、うまくいきません。黒からはもっとよい手があります。

 【3図】 黒1が手筋です。白2のとき、黒3が好手。黒1と白2を交換したことが働いて、白Aに打てません。黒は白地を破ることに成功した上、右側の白も取れそうです。
(おわり)

●メモ● 「長女が小学校6年、長男が4年、次女が1年のとき、3人で小学生団体戦に出場しBクラスで優勝したことがあります」と笑顔で話す知念四段。一番下の文佳さんは昨年、院生に。「夫(楊嘉源九段)は、最近では私より文佳と打つことが多くなりました」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】