上達の指南
(3)気がつきにくい切り一本
(寄稿連載 2014/06/03読売新聞掲載) 手筋の勉強をしても、実戦でほとんど使ったことがない、という方が多いようです。実は、気がつかずにチャンスを逃していることが案外多いのです。
今回は、実戦に登場する機会がかなり多く、これを打てるようになれば勝率アップは間違いなし、という手筋をご紹介しましょう。
【テーマ図】 左上が攻め合いになっています。黒は眼を持っているのですが、黒Aと打つと、白B、黒C、白Dまで攻め合いに勝てません。ここで、あきらめずに、起死回生の手筋を見つけましょう。
【1図】 黒1の切りが、活用する機会が多い手筋です。白2と打たれて、ただ取られただけのように見えるかもしれません。でも、黒3から5と打ったとき、白はAに打ちたいのですが、黒1が働いて白は当たり。白はAに打つ前に6と打たなくてはなりません。これで、攻め合いは逆転。黒7と打って白を取ることができます。
【2図】 応用問題に挑戦してください。
黒Aは有名な「鶴の巣ごもり」の手筋ですが、この場面では、白Bと反撃され、黒Cには白Dとされ、黒が先に取られてしまいます。
では、黒はどう打ちますか。
【3図】 黒1が、1図と同様、切り一本の手筋です。白2なら黒3と打ち、こんどは白4と反撃にきても、黒1の石が働いて白Aに打てない形。白6ときても黒9まで白を取れます。
●メモ● 知念四段は沖縄出身、夫の楊嘉源九段は台湾出身だが、知念四段の手料理は「おみそ汁とご飯という純粋な和食」だという。「3人の子供たちも、小さいころは少し不満そうでしたが、今は喜んで食べています」。家族でペア碁や連碁を楽しむ和やかな一家だ。