上達の指南
(2)自分の考えを前面に出す
(寄稿連載 2009/10/13読売新聞掲載) 新宿こども囲碁教室で、私が心がけていることの一つは、"楽しく"です。
ともすれば「楽=らく」な方向に流れがちですが、一生懸命集中して対局する、問題を解くことで「大変だったけれど充実感がある」という楽しさを子供たちに実感してもらえれば、と思っています。
【テーマ図】 黒は8歳の女子、Hさん。白は10歳のF君で、棋力は二段くらいです。
右上隅、黒9のコスミから白12までは定石にない形ですが、時間がたって勉強が進めば、うまく打てるようになるものです。子どもたちは自分で考えて工夫することが大事ですので、定石を無理に覚えさせることはあまりしません。
F君は白16と詰めましたが、現時点での大場は――。
【1図】 白1のカカリです。黒2のコスミツケ以下白5の二間開きまでが予想されます。白5でAの三間開きですと、黒Bの打ち込みから戦いとなります。黒2でCとスソを払えば白Dと構えます。
テーマ図に戻り、黒17と大ゲイマに締まりましたが、27の小ゲイマの方が隅は堅固でした。
白はすぐに18と三々に入りましたが、黒19以下29まで黒に先手で厚みを築かれてしまいました。
【2図】 白18では、白1とツケ、黒2の押さえならば、白3の引き以下7までとなり白十分です。黒2で3と外からの押さえならば、白Aのハネからのサバキになります。また、白1ではBのカカリも考えられます。
再びテーマ図です。先手を取ったHさんは、黒31の打ち込み以下、43、45と白を止めにかかりました。黒45でイの飛びでは平凡で、白47に飛ばれ黒模様が自然に消えてしまいます。
黒45のツケ以下49と曲げて止めた工夫には拍手です。技術的なことはさて置き、自分の考えを前面に出していくことが大事なのです。
●メモ● 夏休みに行われた「第6回文部科学大臣杯小中学校団体戦」で優勝した東京・千代田区立九段小学校の堀3兄弟、準優勝の港区立白金小学校の本間兄弟は、ともに藤沢八段の教室の生徒。小学生の部は、さながら「新宿こども囲碁教室」の発表会のようだったという。