上達の指南
(3)潜在能力引き出し伸ばす
(寄稿連載 2009/10/20読売新聞掲載) 「どういう子が強くなるか」と、よく聞かれます。子どもたちは様々な才能を持っているので、一概には言えませんが幾つかのタイプはあります。
まず、囲碁が大好きな子。「好きこそものの上手なれ」ですね。次に、長時間集中できる子。このタイプも強くなりますが、小学校低学年では少数派です。
もう一つは、普段落ち着きが無くても、ひとたび真剣になったときに集中力の高い子。保護者の方々も意外に思われることが多いですが、本人がやる気を出すと上達が早いです。
これだけで才能を見極めることはできないので、本人が好きであれば、見守ってあげることが大事だと思います。
教室では教えるということよりも、子供たちの潜在能力を引き出し、伸ばしてあげられるように心掛けています。
【テーマ図】 黒が7歳のUさん。白は少しお姉さんのAさんです。
白28で29の三々は、黒30、白31に、すぐに黒イをねらわれる恐れがあります。黒33まで両者立派な立ち上がりです。白34のシマリもよい見当です。
【1図】 白1のすべりも好点ですが、黒2から4にケイマされると下辺の谷が深くなります。黒4に白Aなら黒Bに伸びられ、依然として左辺が薄い。
これを嫌って、テーマ図の白34に先着したのはよい感覚。
Uさんの黒35打ち込みも、うなずけます。先に黒21と一手備えて左辺が強いので、上辺に打ち込みたいところです。
白36以下黒41のノゾキに白42まで、双方よく打っていましたが、黒43のハイが問題でした。続いて黒45と地に目がいきましたが、白46まで封じ込められ、上辺の黒が手薄くなりました。
【2図】 ここは黒1とこすみ、白2の押さえなら黒3から5のノゾキが好調子です。白8に黒9と飛んでいれば、実戦とは雲泥の差でした。
●メモ● 囲碁を通じて6年来の知己であるゴスペラーズの北山陽一さんが動画サイトで囲碁入門講座を行い、藤沢八段が協力をした。PRする時間がなかったにもかかわらず、多くのユーザーが見たという。この番組を見たユーザーの中から1人でも多くの人が囲碁に興味を持ってもらいたいものだ。