上達の指南
(3)「まず生きること」が基本
(寄稿連載 2006/03/27読売新聞掲載) 囲碁の基本は死活です。生きていなければ、何事も始まりません。ですから、「詰め碁の勉強が上達には不可欠」といわれるのです。
【テーマ図】 前回のテーマ図からの変化です。右上隅で黒が後退したため、白にポイントを挙げられています。白1、3の押しから5とかけ、強引に封鎖してきました。黒4子がピンチに見えます。囲まれた時の対応について考えましょう。
【失敗図】 黒1のケイマは4子をあきらめた手です。白2に黒3と押し上げ、白4に黒5、7と先手でハネツギました。しかし、この白の確定地は30目を優に超えています。いくら何でも大きすぎます。これは「捨てた」というより、「取られた」といわねばなりません。
【正解図1】 黒1と内側からケイマするのが好手でした。「まず生きること」です。白2に黒3と押し上げ、白4に黒5、7のハネツギを先手で打ってから、9のトビで立派に生きました。これを生きられないと、9子の置き碁は卒業できません。
実は、黒1でA、白B、黒Cと出切り、白Dから順番に黒Gと打てば、隅の白は壊滅しています。腕に覚えのある方は、白を取る手順を読んでみてください。
【正解図2】 黒1の時、白2のかく乱戦法に対しては、黒3のハイが冷静でしょう。白4に構わず、黒5と生きます。
今回の上達への近道は、棋譜並べです。タイトル保持者などの棋譜を並べるのは確かに勉強になりますが、級位者にとってこれほど労の多いものはないでしょう。ぼくは専門誌の小型の付録をお薦めします。解説がくわしく、読むだけでも並べるのと同じくらい効果があると思うからです。