上達の指南
(4)「対局」が上達への近道
(寄稿連載 2006/04/03読売新聞掲載) 確実に腕が上がり、9子から8子、そして6子へと置き石が一つずつ減っていくのはうれしいものでしょうね。最終回は5子局を取り上げます。プロに5子で打てれば、アマの高段者はあるでしょう。
【テーマ図】 白1、3のカカリから7といっぱいに迫るのは上手の常套(じょうとう)手段です。上手は黒が2子を怖がってオタオタするのを待っています。白7にどう対応しますか。
【失敗図】 黒1のコスミツケから3などと生きを図る方が多いですね。これが白の思うツボなんです。白4から6と何となく封鎖されて、黒は面白くありません。黒が10目強の地を確保しただけなのに対し、外側の白石はこれから働いてきます。すでに黒が苦しくなっている、といってもよいでしょう。
【正解図1】 白を怖がらないことが最も大切です。黒1のツケがぼくの推奨手です。白2に黒3と伸びて、白4以下10までは定石です。ここで黒11とケイマ(好手)し、白12と受けさせてから黒13(Aも可)と深く打ち込んで、白を左右に分断します。黒の大優勢は明らかでしょう。
【正解図2】 黒1のトビも有力です。白2の受けに黒3のツケが堅実で分かりやすいと思います。黒9まで完全に生きてから11(Aも可)と打ち込み、正解図1と似たような結果を得られました。
今回の上達への近道は対局です。一日中、碁会所で打っている方もおられますが、そんなに打たなくても良いでしょう。2~3局、多くても5局も打てば十分です。そのうち1局は覚えて、自分の碁を振り返ることが一番の勉強になります。(おわり)