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上達への指南
呉清源師の「生涯一局」その十四 読売新聞 2013/10/08掲載
(4)木谷実がコスミの「新手」(寄稿連載)
 木谷実さんとの十番碁は2勝1敗で本局を迎えました。対局場は鎌倉の円覚寺です。このころの木谷さんは夏みかんと蜂蜜を愛用しており、「問題は夏みかんがなくなってダイダイが出るまでの間ですよ。それが今から頭痛のたねです」と心配していました。さすが、木谷さん。先の先まで読んでいるのですね。
 「実戦図1」の白6は珍しい。木谷さんは「ごく普通に白7ですと、黒イ、白6、黒ロと来られると思い、それを嫌ったのです」と述べておられました。
 黒9の四間開きは右上の星と左上の2子との釣り合いを考えての選択です。
 黒15で16は、白ハと開かれるのが嫌でした。
 「実戦図2」の黒31で42は、白イ、黒ロの後に白ハ、黒ニ、白ホの生き形が残され、白の注文です。黒31では34のコスミの方が良かったかもしれません。
 白32で「参考図1」の白1とはねるのは、黒6までとなって、白Aのシチョウは不成立です。
 白36のハネは、この際の好着です。「参考図2」の白1と伸びると、黒6までとなり、白は不満です。
 黒37は仕方がなく、白44まで、白は右下の黒の勢力を消すことができました。
 黒が1目残して勝てたのは幸運です。当時の木谷さんは、一局に扇子を5本ほど用意して、大体、日に1本はぼろぼろにしていました。
(構成・牛力力)
(おわり)

●メモ● 白6の新手を放った木谷七段の様子を、観戦記はこう紹介している。「『おかしいかな? おかしいかなァ』 つぶやいていた木谷氏は、ついに一声『新定石!』と叫ぶや、左上に白6とコスむのであった」。呉師は2分の考慮で黒7と応じたが、手を抜くことも考えたという。
写真=若き呉師
打ち込み十番碁第4局
白 七段 木谷実
黒 七段 呉清源
(1940年6月)

【実戦図1】


【実戦図2】


【参考図1】


【参考図2】

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