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上達への指南
呉清源師の「生涯一局」その三 読売新聞 2009/11/10掲載
(1)打ち込み十番碁の出発点(寄稿連載)
 昭和14年春、私は七段に昇段し、ふたたび木谷実さんと肩を並べることになりました。2人が若くて有望ということで、読売新聞社が「打ち込み十番碁」を企画してくれました。
 第1局の対局場は鎌倉の建長寺。四番手直りの打ち込み制、つまりどちらかが四番勝ち越すと相手は格下の手合割りになるもので、まさに真剣勝負、緊張と恐怖をひしひしと感じました。
 「実戦譜」の黒13では、木谷さんは「本因坊(秀哉)先生にはしかられそうだけど、(イと)ケイマするのは嫌いでね」とつぶやいていました。新布石時代の棋風と違って、このころは堅実無比ともいえる木谷流に様変わりしていたのです。
 黒21では「参考図1」のような打ち方が普通でしょうが、木谷さんは気に入らなかったのでしょう。また、局後、「参考図2」のように「白1と伸びるとどうなりますか」と尋ねたら、木谷さんは「黒2と押します。ひとつ押すごとに4目得になる」との返事でした。それならひとつ伸びて、黒4ときた時に白5とハネ返せばだいぶシノギやすくなったのに、と思いました。
 本局は二転三転して幸運にも私が2目勝たせていただきました。対局中、木谷さんが鼻血を出し、大騒ぎとなる一幕もありました。
 以降、約20年にわたり私が打った「打ち込み十番碁」の出発点が本局で、思えば感慨ひとしおです。
(構成・牛力力)

●メモ● 木谷が鼻血を出したのは、対局3日目の夜、黒157手目を打ち下ろした直後だった。木谷は廊下に出て手ぬぐいで頭を冷やし、その間、呉は一心不乱に読みふけった。木谷に配慮して休憩するのか、打ち継ぐのか。両者合意のもと、呉が次の一手を打ち、20分の休憩がとられた。終局午後11時40分。
写真=木谷実(左)との対局風景 
打ち込み十番碁第1局
白:七段・呉清源 黒:七段・木谷実
(1939年)

【実戦譜】

【参考図1】

【参考図2】
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