上達の指南
(4)挟みと開き兼ねた手
(寄稿連載 2006/02/06読売新聞掲載) 布石の段階では、辺への素早い展開が望ましく、そのための手段として、簡単で有力な二間開きはまさにうってつけだといえるでしょう。
さて、二間開きの特性をお話ししてきましたが、最終回の今週は、最も効果的な二間開きをご紹介します。
布石で有力な二間開きの中でも最も価値が高いのは、「挟みと開きを兼ねた」手。これを打てる場面ができることは滅多になく、テクニックを用いることになります。
【1図】 白1がテクニックの一手。黒2を誘っておいて、白3と挟みを兼ねた二間開きを打つことができます。白がたいへん働いた形です。この進行を嫌うなら、黒2でAと、黒が先に二間開きを打つ手もあります。
【2図】 白1もプロの実戦例があるテクニック。次に白2またはAという最大級の大場である掛かりをみています。黒2のとき、白3が挟みを兼ねた二間開き。やはり白が働いた形です。なお、ひと昔前までは、黒4の締まりが大きいとされていましたが、今は黒4と白5はほぼ同じ価値だとみられています。
【3図】 この局面では、黒1の二間開きが、まさに開きも兼ねた絶好の一手。黒AかBが最大級の大場ではありますが、それより勝る価値があるといえるでしょう。
黒が上辺に向かえば白Cが厳しい好手になります。下辺の黒を攻めながら、次に白Dの掛けをみています。黒1は、これを阻止しながら、逆に下辺で主導権を握っています。こんな手を打てるチャンスがあれば絶対に逃したくはありません。黒1を打てれば、すでに黒が優勢です。
「二間開きに悪手なし」。これは私のつくった格言ですが、二間開きをマスターし、皆さんの碁が広がっていただけたらと願っています。(おわり)