上達の指南
(4)現代碁のからい変化
(寄稿連載 2009/04/28読売新聞掲載) 今回だけ、テーマ図と「定石?」を一つにさせていただきます。お許しください。
【テーマ図(定石?)】黒5のカカリに、白6は最近流行の一間高バサミです。黒7と飛んでから9と三々に入るのをよく見ます。地にからい現代碁の一つの行き方です。白10から16までが定石と本に出ていますが、僕は「はっきり白よし」と思っています。
【変化図1】黒1のノゾキから3の伸びは僕が打ち始めた変化で、林海峰名誉天元にも多用していただき、喜んでいます。白4から6のツギは仕方がなく、黒7とこすみます。この後、白8は堅い手で、黒9と白10を決めます。こうなれば、白は「定石?」に比べて眼形がなく、黒は5子をあわてて逃げる必要はありません。
【変化図2】変化図1の白8で1のコスミツケなら、黒はすぐに動くかどうか。放っておいても、「定石?」と比べはっきり利かしになっています。
すぐに黒2と曲げて動けば、白3のハネ、黒4のケイマとなり、これは互角の進行です。
【変化図3】変化図2の白3で1の飛びは黒2と伸び切られて無理です。白3、5のワリツギに、黒6の切りから8と伸びられ、Aの取りとBのシチョウが見合いで、白のつぶれに終わります。
以前、だれかが「定石は覚えてから忘れろ」といったことがありました。「定石」というものを考えるヒントになったでしょうか。
(おわり)
●メモ● 彦坂九段は2月下旬、三重県志摩市で行われた第33期棋聖戦七番勝負第5局の翌日、挑戦者の依田紀基九段とお伊勢参りに行った。初めての依田九段が仲の良い彦坂九段を誘ったもので、依田九段はご機嫌だったという。どんな道中談が交わされたのだろうか。