上達の指南
(1)石の配置で手段も変わる
(寄稿連載 2015/08/25読売新聞掲載) 相手の石を仕留める際、部分的には複数の方法が存在することがあります。ハネから行ってもいいし、急所に直行してもいい、といったケースを思い浮かべてみてください。
しかし周辺に相手の石がきたりすると、正解は複数の手段のうちの一つに限定されることがあります。そうした実戦的詰碁に取り組んでいただきましょう。
【第1問】 黒番で考えてください。部分的には単純な基本詰碁です。△の存在が黒の着手にどう影響してくるでしょうか。
【1図】 △がなければ、黒からはAのホウリ込みでも、Bの急所直行でも白を仕留めることができるのは、すぐにお分かりいただけるはずです。
【2図】 しかし△が存在すると、どちらでもいいというわけにはいきません。黒1から行くと白2とつがれ、AとBが見合いで生きられてしまいます。
【3図】 黒1のホウリ込みが唯一の正解。白2に黒3と眼を奪い、白に右方へ渡られることもありません。
【第2問】 これも部分的には単純ですが、△3子があるので正解は一つのみです。
【4図】 黒1のハイから3の急所へ行くのは、白4と抜かれます。
【5図】 黒1と眼を欠いても白2のツギで生還されます。
【6図】 黒1の急所直行が正解。白2に黒3と眼を奪い、△に関係なく白を仕留めることができました。
●メモ● 平田智也四段は広島県出身、21歳。宋光復九段門下。昨年までNHK杯の記録係を務めており、理知的な顔に見覚えのあるファンも多いはず。非公式戦ながら若手棋戦で準優勝の実績があり、今年は第40期新人王戦で決勝に進出。許家元三段との三番勝負は9月11日開幕する。