上達の指南

平田智也四段の「実戦的詰碁への誘い」

(4)粘りを封じる攻め方を

(寄稿連載 2015/09/15読売新聞掲載)

 詰碁を解くのは大好きですが、自分で詰碁を作るのは苦手です。何度か取り組んではみたのですが、僕にその才能はないことが判明しただけの結果に終わりました。宋光復先生(九段)門下で、一番の詰碁作家と言えば風間隼二段です。シンプルな実戦形ながら興味深い変化を秘めている作風です。
外側にある白石の影響に注意しつつ、白を仕留める問題です。

【第1問】 皆さんの実戦でもよく現れる形ではありませんか。

【1図】 黒1のハネに限ります。白2には黒3と引き、あとは基本的なナカデで白死です。

【2図】 黒1の方からはねるのはどうでしょう。白6の抜きが渡りを見て先手となります。黒7と引けば白8で生きられてしまいました。

【3図】 黒1と急所へつけるのは、やはり白2のハネが先手。白4とされると、黒5とこすんでも白6、8で生きです。

【第2問】 ずいぶん離れた所に△がありますが、これが隅の死活に影響してくるのです。

【4図】 黒1のハイから3で眼を奪い、白4には、その左に放り込んで白死と思うのは勝手読みです。

【5図】 白1のハネ上げが粘りの好手。黒2に白3でコウに持ち込まれてしまうのです。

【6図】 黒1と単にはうのが正解です。白2に黒3で「隅の曲がり四目」による白死。白4とされても黒5、7で連絡を阻止しています。
(おわり)

【第1問】
【第2問】
【1図】
【4図】
【2図】
【5図】
【3図】
【6図】

●メモ● 宋光復九段門下には平田四段と風間二段のほか、安斎伸彰七段と一力遼七段がいる。いずれも将来が楽しみな若手。詰碁を解くスピードでは「一力君が断然」と平田四段。「彼は詰碁を作る能力はゼロだけど、解く能力は驚異的」。そのセンスに舌を巻くこともたびたびあるという。