上達の指南

謝依旻女流本因坊の「碁は攻めにあり」

(1)反発の遮断から主導権

(寄稿連載 2008/03/31読売新聞掲載)

 「攻め」をテーマにしたお話をさせていただきます。いつごろから攻めの碁になったのか、よくわかりません。もともと詰め碁が好きで、深く読んだり、石を取るのが面白かったところからきているのでしょうか。

 昨年、中国で行われた「遠洋地産杯世界女子プロオープン戦」の楊梓二段との一局です。訪中はプライベートでは数え切れないほどありますが、対局ではこの時が3回目でした。

 【テーマ図】 私の白番で、黒1と肩を突かれたところです。ここで白がどのような攻勢に出るかが、今回のテーマです。

 【1図】 私は白1、3と黒1子を遮って、黒4に白5とタタいて強くいきました。この後、黒Aに白Bと右上にもたれながら、右辺の一団に猛攻をかけ、取ってしまいました。

 【2図】 黒1と曲がって危険を回避すれば、白2のツギから4と下辺を備えることになります。これは下辺の白地が大きい。

 【3図】 テーマ図の黒1の注文は、白1と受けさせ、黒2、4と進出していくことだったのでしょう。これなら右辺の白を攻めつつ、黒Aの動き出しを見て、黒の理想的な進行になります。

 【4図】 黒は1と押しているくらいでした。白2の引きに黒3と飛んでいれば、いい勝負だったと思います。

●メモ● 謝女流本因坊は1989年11月、台湾生まれ。黄孟正九段門下。2004年入段、06年三段。同年第8期女流最強位、07年第26期女流本因坊。08年第20期女流名人。棋道賞の女流賞を2年連続で受賞。今年の目標は昨年の40勝を超えることと、女流賞の3年連続受賞。「どちらも難しいが、目標としたい」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】