上達の指南

謝依旻女流本因坊の「碁は攻めにあり」

(3)カドに迫って絡み攻め

(寄稿連載 2008/04/14読売新聞掲載)

 自分の石が弱いのに攻めていると、結局は自分に降りかかってきます。石を強くしてから攻めていくのがコツです。

 【テーマ図】 昨年の棋聖戦B予選・井口豊秀七段との1局で、私の黒番です。白1の肩突き以下9に、黒10、白11となり、攻めの筋に入りました。普通、この形は黒イとハネ、白ロの伸びとなります。次に、黒ハとかかるくらいですが、白ニに受けられて黒不十分です。

 【1図】 私は黒1とカドを突き、白2のケイマに黒3のノゾキを利かして5とカケました。左下にモタレながら下辺の白への攻めを見ています。黒5に、白6、8の出切りは気合でしょう。黒9のハネが筋で、以下黒17まで白を戦いに引き込むことに成功しました。

 【2図】 戦いを避けて白1とハウのはつらく、黒は2、4と伸びて十分です。白は5に1手備えておかないと、逆に黒5で全体の白が攻められる心配があります。続いて、黒6の押さえを決め、8のカカリになれば黒十分やれるでしょう。

 【3図】 1図、白10の伸びはやむを得ません。白1に出るのは、黒2の押さえから4が好手順で、白5に黒6以下10と押さえられては、白苦しい。本局は幸いにも中押し勝ちし、次の一局も勝ってA予選に進むことができました。しかし初戦で負け、今期はまたB予選からのスタートです。

●メモ● 謝女流本因坊は昨年同様対局が多く、3月末時点で13局に達している。対局数のベスト7位。多忙のため、昨年7月以来、帰郷していないが、5月に台湾で「第1回中日精英プロ大会」があり、出場の予定。「時間が取れれば、実家(台北と台中の中間にある苗栗)に帰りたい」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】