上達の指南
(4)軽率の一手から猛攻招く
(寄稿連載 2008/04/21読売新聞掲載) 最終回は徹底的に攻められて負けた苦い思い出の1局です。相手は中国の鄭岩二段。女流国際棋戦ではよく顔を見ます。
【テーマ図】 私の白番で、黒23のコスミツケに白24と飛び、黒25となったところです。ここで甘い考えから、大変苦しいことになったのです。
【1図】 白1の下がりが安易でした。黒2のノゾキから4の飛びが想定にはない強烈なものでした。白5以下はやむを得ない対応でしたが、白13と飛んだのが、火に油を注ぐことになりました。黒14の割り込みをうっかりしていて、黒18に切られてはいけません。
【2図】 白1と飛ぶくらいでした。黒も2と飛ぶでしょうから、白3と柔らかくいく方がよかったようです。右下の白はAのコスミ、Bの押しなどの味があって、これからの碁でした。
【3図】 1図の黒2、4の強打は、黒1のコスミくらいかと思っていたのですから甘かったです。これなら白2以下6と伸びていてよく、白4では5のボウシでも十分戦えると読んでいたのです。なお、黒1で単に5の飛びなら、白1と渡ってこれも問題ありません。
【4図】 1図の白13の飛びでは、白1と伸び切るべきでした。黒2には白3と飛んで、危なくなかったでしょう。右辺、黒Aには白Bのツケ以下白Fのシノギがあります。
(おわり)