上達の指南
(1)石を取るのは楽しいよ
(寄稿連載 2010/01/05読売新聞掲載) 明けましておめでとうございます。梅沢由香里(女流棋聖)です。囲碁アミーゴを立ち上げて間もなく5年、レッスンにもようやく手ごたえを感じるようになりました。これから代表幹事の万波佳奈四段、幹事の王唯任四段、長島梢恵初段の4人で、初歩のルールを覚えた人がステップアップするためのワークショップを開きます。
今週のテーマは「石の取り方」。囲碁のルールに「石は囲うと取れる」というのがあります。みなさん、これは簡単に理解できますが、実際に石を取るとなるとなかなか難しいようです。
1図は黒番で白2子を取る問題ですが、ルールを覚えたばかりの人に出題すると、正解率は30%ぐらい。実戦だと気づかない人も多いのです。正解は黒A。
2図は白番で黒を取る問題。正解はAですね。▲の2子が取れます。黒Bと逃げても白Cで黒が取れて損害が大きくなります。取られると分かったら逃げないほうがいいですね。
3図は黒番で△を取る問題。ちょっと難しいですが、「白を取りますよ」と黒Aの当たりを打つのが正解。白Bと逃げても黒C、白D、黒E、白F、黒G、白H、黒I、白J、黒Kと追いかけていって白は取られています。このような取り方を「シチョウ」といいます。
石を取るのは碁の醍醐(だいご)味の一つでもあります。練習問題をたくさん解いて実戦で応用してみてください。
●メモ● 梅沢女流棋聖は1973年、東京都生まれ。加藤正夫名誉王座門下。96年入段、2002年五段。女流棋聖3連覇中。「囲碁は礼に始まり、礼に終わるゲームです。対局をするときは『お願いします』、終わったときは『ありがとうございました』とあいさつしましょう」