上達の指南
(2)自分の石を用心し攻める
(寄稿連載 2010/09/28読売新聞掲載) 相手の石を攻める場合は、まず自分の石の用心をしてから、というのは囲碁の心得のひとつ。今週はそんなテーマに沿って、話を進めます。
王唯任四段「1図は模範的な対局。黒5から11まではよくできる定石。白は右辺、黒は下辺に地ができて互いに十分です」
万波佳奈四段「黒5で2図の黒1のように、すぐに相手の石につける人を見かけます。攻めっ気の強い人なのでしょうが危ない打ち方ですね」
王「白6まで黒は小さく閉じこめられてしまいます。1図の黒7のツケは黒5が応援になっているから打てるんですね」
梅沢由香里五段「黒19から21は、ツケにはハネよ、ハネには伸びよ、ですね」
王「途中、黒21で白の進出を止めようと、3図の黒1と打つ人もいますが、白2、4と隅の黒と分断されます。積極的に見えて実は危険な手です」
長島梢恵初段「白は相手の陣地を減らそうと26と入っていきました。ここで4図の黒1とつけて白を止めようとする人も多いですが、白6まで黒がバラバラになってしまいます」
王「5図の黒1とこすむのが好手。味方の石と連絡しながら白を攻めています。黒5はもたれ攻め。白6に黒7と伸びて、黒は上辺の白を攻めながら主導権を握ることが出来ます。このように直接つけて攻撃すると、その反動で相手の石も強くなるので、相手の石から離して打つように心がけることが大切です」