上達の指南
(1)うそ手は自分に悪影響
(寄稿連載 2010/07/27読売新聞掲載) 私は指導する場合、なるべく本手を選び、ゆっくり打つよう心がけています。うそ手で無理に勝とうとすると、どうしてもくせになり、自分の碁に悪影響を及ぼすからです。
今日から4回にわたり、お話しさせていただきます。参考にしてください。
【テーマ図】 白1の小ゲイマ、3の二間高ガカリから5とボウシするのが上手の常とう手段です。ここで常識的には、黒イからニまでの四つの受け方があります。順に調べてみましょう。
【1図】 その前に、黒1と早生きを図る人をよく見ます。白10まで、白を固めて外勢を築かれたのに対し、黒の得た実利はわずか数目にしか過ぎません。後に白Aの置きも心配です。これは黒最悪の図でしょう。
【2図】 黒1のコスミで逃げ出すのは、白2の押しから4とケイマされ、悪くなることはなさそうでも、うまくやられる可能性はあります。
【3図】 黒1のケイマは白2と押されます。黒3なら白4で、黒5がアキ三角といういやな形です。白8まで難しくなっています。お勧めできません。
【4図】 3図の黒3では3のコスミツケから5が良いとされています。白8まで同じような進行が考えられますが、右辺は黒が強く、白は薄いのです。ただし、白が強くなれば、Aの伸びやBのツキアタリに気を配らなければなりません。
テーマ図のハ、ニについては、次回、お話しします。
●メモ● 石井初段は関西棋院所属。埼玉県出身、27歳。2007年8月入段。7歳の時、アマ5段の父親に教えられ、その年、菊池康郎氏が主宰する緑星囲碁学園に入った。同期に望月研一七段、大場惇也六段、山田晋次五段、安藤和繁四段ら若手有望株がずらりと並ぶ。