上達の指南

石井茜初段の「9子局のボウシ対策」

(4)広い方から中央めざす

(寄稿連載 2010/08/17読売新聞掲載)

 9子局でボウシされた時、中央へ進出する際の目安は、「広い方から出る」のが自然ということです。狭い方が白は策動しやすいのです。

 【テーマ図】 黒6のコスミが広い方です。確実に脱出するには、私はこれをお勧めします。

 【1図】 白2の押しには黒3と飛びます。白4に黒5は絶対。白6のツケには黒7と妥協して白8の実利を許しても、黒9と割っていけば、白はバラバラになりそうです。白6を打たないと、黒6の下がりが非常に大きいのです。白6と黒9は見合いのようなものでした。
 黒7を8と押さえるのは、白Aとふくれられて、下手は心配かもしれませんね。

 【2図】 白2の飛びには、平凡に黒3と押すのが分かりやすいでしょう。白4の飛びにも黒5とがっちり受けておきます。白6に、黒7のノゾキから9のケイマで自然に中央へ進出します。白は左右が忙しすぎて、形を整えるのにいつまでも苦労しそうです。黒不満はありません。

 【3図】 白1、3と両方が二間高ガカリの場合もあります。この時、村川大介五段は「一番分かりやすいのでは」と、黒6のツキアタリを推奨しています。白7には黒8の飛び、白7をAなら黒Bで、左右同形です。白は打つ手がありません。

 【4図】 実は私は白3に黒4の飛びを勧めています。白5には黒6でいいでしょう。ボウシを許さない有力な打ち方だと思っています。
(おわり)

●メモ● 石井初段は18~20歳の2年間、日本大学芸術学部に在籍し、油絵に専念したが、中退し、囲碁の世界に戻ってきた。趣味は週1回は欠かさないというテニスとボウリング。「棋士は運動不足になりがちですから、体力づくりを心がけています」と石井初段。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】