上達の指南
(2)中央に進出し連絡を
(寄稿連載 2010/08/03読売新聞掲載) 9子局で下手にとって大切なのは、ボウシされた石は中央に進出し、どれかの置石に連絡することです。黒がつながれば、白の石は自然にバラバラになってしまいます。
【テーマ図】 黒6の肩ツキは私が一番いいと思う手です。自然で最も厳しいでしょう。その代わり、多少の難しい変化は覚悟しなければなりません。
【1図】 白2の押しから4の曲げには、黒5から9まで平易に受けておきます。白12には黒13と曲げて連絡しておくのが本手で、ほれぼれするような厚みを築けました。もう負けようがありません。黒Aのコスミも絶対の先手で、白はBとはうしかありません。
【2図】 1図の白12で1と押してくれば、黒2から6と逆らわずに伸びていて簡明です。次にAとBが見合いです。白1、3、5の3手はダメばかり打っていることがお分かりでしょう。
【3図】 1図の白6では、強引に白1と切ってくることも考えられます。それには黒2と平凡に当てるのが分かりやすいと思います。黒10のツギまで、黒1子は取られても黒の壁は近寄れないほどの厚みで、全く不満はありません。
【4図】 また、1図の白6で、1とハサミツケてくる変化球にも備えておかなければなりません。これには黒2と下がり、白3の切りに黒4の当てから2子を捨てるのです。黒8が手筋で、16となって大勝でしょう。
●メモ● 石井初段は2008年度関西棋院賞の新人賞を受賞。女流の受賞は李楊二段(現四段)以来、10年ぶり。年間成績12勝6敗で、横田茂昭九段を破る殊勲などを評価された。昨年は女流本因坊戦で決勝に進んだが、青木喜久代八段に敗れ、挑戦権を逃した。今年は7月末まで12勝10敗。