上達の指南
(3)難しい変化には平凡に
(寄稿連載 2010/08/10読売新聞掲載) 9子局を卒業できると、8子から6子までは同じ様な考え方でよく、比較的スムーズに上達していけると思っています。局面は広くなっていきますが、応用問題と考えたらいいでしょう。
【テーマ図】 前回の続きです。今回は白が少し難しく変化してきた場合の対応を考えてみましょう。
【1図】 黒1の肩ツキに対し、白2のツケは上手の常とう手段です。黒3の押さえなら、白4のフクレから6のコスミと頭を出して、少し紛らわしくなります。後に白Aのハネから、黒B、白Cのコウを狙われます。下手はコウが苦手ですからね。
【2図】 そこで、黒3の押さえが分かりやすいでしょう。白4、6に黒7と下がり、黒9と押さえます。後にA、Bいずれかのハネツギが絶対の先手になるのも心強い点です。
【3図】 2図の後、すぐに白1と切られるのを心配する人もいると思います。黒2の当てから4、6と平凡に押していいでしょう。白7に調子で黒8と守り、どうということはありません。AかBのところのハネツギの権利は2図と同じで、黒は眼形の心配はありません。白は中央が分断され、まとめるのは難しいでしょう。
【4図】 黒1に対し、白が紛れを求めるなら、2のツケでしょうか。黒3の押さえと相手をしないのが一番分かりやすいはずです。白4のハネに、黒5とハネて白1子を制します。後に黒Aが厳しい狙いになります。
●メモ● 石井初段は週1回、おもに神戸で開かれる結城聡九段の研究会に参加している。メンバーは矢田直己九段、吉田美香、古谷裕八段、瀬戸大樹七段、村川大介、河英一五段らで、会員の打ち碁をみなで検討する。「まず女流棋戦のタイトルがほしい」と石井初段。