上達の指南
(3)ナナメに用心し逆に狙う
(寄稿連載 2009/02/23読売新聞掲載) 囲碁を始める方がとても増えています。世界の囲碁人口は、今や4000万人を超えます。昨年行われた第29回世界アマチュア囲碁選手権には68か国が参加し、10月に北京で開催された第1回ワールドマインドスポーツ大会では、チェス、ブリッジなどと共に囲碁が正式種目となりました。今後もますます世界に広がることでしょう。
さて1図は、先週ご紹介した模範的な対局です。白12までをこの通りに打ち、その後を自由に打つ「決め打ち碁」は、〈1〉一局を早く打てる〈2〉いい形を覚える〈3〉達成感がある――などの効能があります。
また、強い人と打つときは、置碁(あらかじめ黒石をいくつか置いた状態から打ち始める)が一般的ですが、置碁ではなく、決め打ち碁で白に10目のコミ(ハンデ)をつけて打ってみるのもお薦めです。
今回は、入門者に特に多い失敗を取り上げましょう。1図の白16で、2図の白1は危ない打ち方。黒2(切りという)に打たれると△が当たり(次に取られる状態)。黒4まで白1の石を取られてしまいます。
また、1図の黒19で、3図の黒1も失敗。白2と▲を当たりにされ、白4まで黒1の石を取られます。ナナメをしっかり用心すると同時に、逆に相手のナナメを狙えるようになると強くなります。
●メモ● 「わかりやすく、懇切丁寧」とアマチュア指導に評価の高い石倉九段。4月からNHK囲碁講座の講師を担当する。同番組の講師は5回目となる。今回は題して「あなたも囲碁仲間」。「入門者から有段者の方にまで囲碁の面白さをわかりやすく伝えていきたい」と語る。