上達の指南

石倉昇九段の「わかりやすい囲碁入門」

(4)ナナメの質を見分ける

(寄稿連載 2009/03/02読売新聞掲載)

 私は、東京大学をはじめ、囲碁を教える機会を多くもっています。その中で、いくつかの効用があることが分かりました。
 まず囲碁では、基本(定石、考え方など)を覚えて、新しい状況(実戦)におかれたときに頭で考え判断することが大切です。それによって、考える力を養うことができます。また、人と人とが対戦することによって、相手の気持ちを思いやるコミュニケーション能力も高まってきます。老若男女、世界の人々とのコミュニケーションの手段としても、囲碁がどんどん広まってほしいと願っています。
 さて、今回は「危ないナナメ」と「大丈夫なナナメ」についてお話ししましょう。1図は、お互いに地ができて終局しているように見えます。でも黒の地は完全ではないのです。わかりますか?
 左側の白はしっかりした地。2図の黒1ときても、白2で取れますし、黒3ときても白6まで取れます。
 問題の右側の黒地です。3図の白1とナナメを切られると▲が当たり(次に取られる状態)。逃げても白7まで取られて地ではなくなってしまいます。3図の1の点に黒が打ってはじめて、黒地です。
 「危ないナナメ」と「大丈夫なナナメ」を見分けられるようになれば、入門は卒業です。
(おわり)

【1図】
【2図】
【3図】