上達の指南

石倉昇九段の「これができれば入門卒業」

(4)キズに気づいた方が勝ち

(寄稿連載 2009/08/25読売新聞掲載)

 これまで、石の連絡が大切だというお話をしてきました。今回は、15級同士に打ってもらった対局をテーマに、総まとめをしましょう。

 【1図】 お互いに納得して終局した場面ですが、実は、黒白双方の地の中にキズがあります。探してみてください。
 まず、黒地のキズを白の立場で狙いましょう。

 【2図】 白1と、ナナメの場所を切る手が正解。▲の4子が当たりです。白3まで、黒の4子を取って、白が大もうけです。では、黒の立場で白地のキズを探しましょう。

 【3図】 こちらは、少し先まで読むので難しくなります。まず、黒1とナナメの場所を切ると△が当たり。白2と守ったときに、黒3と少し白地を狭めてから、黒5と打てば、□の3子が当たり。黒7まで、3子を取って、こんどは黒が大もうけです。黒3の手で5と打っても□の3子を取れます。

 碁を覚えたての頃は、お互いにキズに気がつかないまま終局することがよくあります。逆にいえば、キズに気がついた方が勝ち。「ナナメ」の守り忘れで勝負がつくことがほとんどといってもよいのです。
 「ナナメに強くなる」のが上達の近道。さらに「生き死に」がわかれば、10級というレベルになり、碁がどんどん面白くなります。「生き死に」については、また別の機会にお話ししましょう。

(おわり)

●メモ● 今年2月に発売された石倉九段の著書『ヒカルの囲碁入門』(集英社インターナショナル)が好評。「人気キャラクターであるヒカルも登場して視覚的にも楽しめ、気軽に手にとれる本。ファンのすそ野が広がってくれればうれしい」と石倉九段は語る。続編も出る予定だという。

【1図】
【2図】
【3図】