上達の指南
(2)敵の急所は、我が急所
(寄稿連載 2010/04/06読売新聞掲載) 前回は、離れた二つの眼をつくれば「生き」だというお話をしました。
相手の地になりそうな所に入っていった場面、また相手の石に囲まれて孤立した場面で、「生きよう」、「生かすまい」とする戦いが起こります。そのときに、生きるか死ぬかでは大違い。勝敗を左右することもよくあります。
一局の中では、たいていこうした場面が訪れますから、「生き死に」をマスターすることはとても大事なのです。
今回は、問題を考えましょう。
【1図】 右上、左下の形をご覧ください。それぞれ、白の番で生きるにはどこに打てばいいでしょうか。また、黒の番で白を生かさないためにはどう打てばいいでしょうか。
【2図】 白番の正解です。右上も左下も△と打てば、離れた二つの眼をつくることができ、「生き」(取られない石)です。黒はAにもBにも入れません。
【3図】 こちらは黒番の正解。白を生きさせないためには、右上も左下も▲が急所。白は離れた二つの眼をつくれず、どちらも「死に」です。
白番の正解と同じところですね。相手が生きるはずの所に打つと、生かさないようにできるケースがよくあります。「敵の急所は、我が急所」です。
こういう問題を通じて目が慣れてくると、だんだんと生きる形や急所がわかるようになります。