上達の指南

石倉昇九段の「『生き死に』をマスターしよう」

(4)カケメ分かれば強くなる

(寄稿連載 2010/04/20読売新聞掲載)

 今回も、「カケメ」についてお話しします。
 私は20年以上囲碁教室で教えていますが、「カケメが分からない」という方は大勢います。逆に、カケメが分かって急に強くなり、5級だった人が二段に上がった例もあります。ですから、「眼」と「カケメ」をすぐに見分けられなくても、そのうち分かるさ、と大らかに構えていて大丈夫です。

 【1図】 カケメの問題です。右上の白も左下の白も、まだ二つの眼は完全ではありません。黒はどう打てば、白を生かさないようにできるでしょうか。

 【2図】 右上の問題の正解です。黒1と打てば、Aをカケメにできます。
 なぜなら、黒Bで△の3子が当たりとなり、白はAとつながなければなりません。白にはこれを防ぐ手立てがないのです。黒1の手でBに打ったりすると、白1と打たれて、Aが眼になり失敗です。

 【3図】 左下の問題の正解です。少し難しいのですが、黒1が好手。白2と取られますが、取ったあとの1の所はカケメ。白の眼は一つしかなく「死に」となります。
 黒1でAと打つと、白1と打たれて、眼を二つ作られ生かしてしまいます。

 ここまでお話ししてきた「生き死に」をマスターすれば、10級以上の棋力は十分にあるといえます。自信を持って対局を楽しんでください。
(おわり)

●メモ● 囲碁普及に力をそそぐ石倉九段は、東京・渋谷にある東急プラザでの囲碁教室を続けて、今年で27年目。金曜と土曜のクラスがあり、入門者対象のクラスも充実している。「生徒さんの対局を見ることで、アマチュアの方のよく間違える手、悩みなどがわかり、指導法の参考になる」と話す。

【1図】
【2図】
【3図】