上達の指南
(3)相手の勢力圏では軽く
(寄稿連載 2016/08/10読売新聞掲載) 相手の石が多いところでは、正面から戦わないことが肝要です。アマの皆さんにはぜひ、相手の勢力の中では軽くさばくコツを覚えていただきたいですね。
【テーマ図】 私の実戦譜を見ていただきます。白番です。右下が焦点となっています。
隅の小目に一間にかかったのに対し、▲と目いっぱいに挟んできました。下辺は黒が多いですから、白はさばく気持ちが大切です。考えるポイントはかかった石が重くならないようにすることで、捨ててもいいという感覚が必要でしょう。
【失敗図】 素直に打つなら白1、3の飛びでしょうか。すると黒2から4のノゾキで連絡するのがうまく、黒6と大場に先行されてみると、良いところは全部打たれたうえに、白の一団が不安定です。この進行が黒の想定なのでした。
相手の狙いを考えて、これを阻止しなければなりません。何が悪かったのか考えてみましょう。
【実践図】 白1と三間に飛びました。飛躍した手に見えますが、プロの対局ではよく打たれます。軽いので急戦になりにくいのです。
黒2とこすまれた時、白4は黒Aとはねられ、戦いに持ち込まれます。白3と飛び込みました。黒4を許しても、白5と反撃に出ます。左下に援軍もいるので戦えます。右下の白1子はまだ完全に取られていません。この勝負は勝つことができました。
●メモ● 岩丸六段は自身の教室のほか、保育園、小学校などでも教えている。生徒の年齢は4歳から95歳、棋力は入門から7段と幅広い。丁寧で分かりやすい指導が生徒の信頼を集める。2年前からは、水戸夕香里三段の誘いで、大阪の大学で夏季講習の教壇に立っている。