上達の指南
(1)相手の弱い石切り離す
(寄稿連載 2011/01/04読売新聞掲載) 私は月に10日ほど、会社の囲碁部などに指導に行っています。
アマの方が強くなるには様々なポイントがありますが、石の強弱を判断するのは大切な要素です。もちろん、相手の石についても、自分の石についても、強弱を判断しなければなりません。その感覚がつかめるようになれば、初段の壁も突破できるでしょう。題材はすべて私の指導碁から採りました。
【テーマ図(7子局)】 白1と打ち込んだ局面。これを怖がる人が多いのですが、実際は白の方が弱いので、自信を持って打つべきです。
【1図】 黒1、3のツケ引きから、5と守る人をよく見かけます。これをAとこすむのは遠慮のしすぎです。白6と頭をたたいて、白が躍動しています。黒最悪の図といえるでしょう。
【2図】 黒1のコスミから3と下がるのも、生きるのにきゅうきゅうとしている姿に変わりはありません。白4に黒5と守り、白6とカケられてはさっぱりです。
【3図】 黒1のコスミから、3のハネが強く、正解です。「相手の弱い石は切り離す」のが大切です。黒7となって、白は苦しく、困りました。
【4図】 3図の3で1と伸びるのも穏やかで、悪くありません。黒5まで、準正解です。
●メモ● 井澤四段は日本棋院関西総本部所属。奈良県生まれ、32歳。6歳でアマ六段の父に教えられた。1998年入段、07年四段。女性枠ではなく、男性とも対等に争う一般枠での入段は関西ではただ一人。棋院全体では謝依旻女流三冠、加藤啓子六段、青葉かおり四段ら7人。