上達の指南
(3)厳しく迫って主導権握る
(寄稿連載 2011/01/18読売新聞掲載) 私が指導に行っているクラブでは、幹事の方が棋譜をすべて採ってくれていて、百数十枚もたまっています。たまに見直してみると、勉強にも反省にもなり、このように教材としても有効活用できるのですから、感謝しています。
【テーマ図】 (7子局)白1と三々に入ったところです。外側の白4子の強弱をどうとらえるかで、後の応対の仕方が変わってくるでしょう。
【1図】 黒1と押さえ、白2のハネから4の切りに、黒5と打って白6と抜かせる人が最も多いようです。白8と二間にくつろげられると、もう攻めは狙えません。失敗です。黒3を4とぐずみ、白3、黒5と切る変化も、地に甘いのです。
【2図】 黒1の下がりは強い手です。白2のノゾキから4のハイに、黒5、7から9と切るのはよくある打ち方ですが、白12の当て一本で生きられ、14とゆとりを持たれてしまいます。黒が不十分でしょう。
【3図】 場合の手段ですが、黒7のハネから9の伸びが有力だと思います。白10と隅の実利は与えても、黒11と背中から迫り、攻めの効果は十分期待できるでしょう。正解です。
【4図】 3図の白4で、1とこすむのもよくある打ち方です。これには黒2のアテコミから、4の押さえが簡明です。白5の生きは絶対で、黒はやはり6と迫り、主導権を握れます。分かりやすくて正解です。
●メモ● 井澤四段は四段になってから、昨年末までで29勝を積み重ねてきた。五段に昇段するには、女流棋戦を含まずに、70勝と規定されている。年間10勝を挙げても、あと4年ほどはかかりそうだ。「早く五段になりたいんです。何といっても周囲の人の見る目が違いますから」