上達の指南

菅野昌志六段のあなたも使える うわ手の手口

(1)ポイント積み重ね勝負

(寄稿連載 2017/05/09読売新聞掲載)

 置き碁をテーマとした書籍や講座は数多くありますが、うわ手の立場から解説したものは、ほとんど見かけません。そこで「うわ手の手口」なるタイトルで、私がアマチュアの方を指導する際に多用する手段についてお話しします。

 【テーマ図】黒6の三連星に対し、私は白7と五線に臨む手をよく使います。黒がどう応じるか、まずはお手並み拝見です。

 【1図】8割くらいの方が黒1と受けてきます。もちろん立派な応手ですが、もうひとつ白2と五線に臨むのが菅野流。すると9割以上が黒3の飛びなので、白4とつけていきます。

 【2図】最も多い対応が、黒1のノビから5まで。堅実な石運びではありますが、白6の出から8、10の二段バネが手筋で、白石がひとつの無駄もなく目いっぱいに働いています。
 決して黒が大失敗というわけではありませんが、置き碁におけるうわ手としては「少しずつポイントを挙げ、その積み重ねで勝負にしていく」という考え方が肝要です。その意味で本図は白成功と言えるでしょう。

 というわけで黒1では――。
 【3図】格言で「ツケにはハネよ」とあるように、黒1のハネが緩まぬ応手で、白2の切りには「切り違い一方伸びよ」で黒3と伸びます。白4には黒5から17まで、黒の不利はありえません。

 遡って1図の黒1では――。
 【4図】黒1のカドが最も厳しく、私のおすすめ。白2、4と棒石にして黒5と攻めます。

●メモ● 菅野昌志六段は、1967年生まれの49歳。故・菅野清規八段を父に持ち、89年に入段を果たした。棋聖戦三段戦、棋聖戦五段戦で準優勝の実績がある。夫人は菅野尚美三段。声の大きさには定評(?)があり、その飾らない人柄がにじみ出る、明るく元気な指導にファン多数。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】