上達の指南

菅野昌志六段のあなたも使える うわ手の手口

(4)定石後も正しく応じて

(寄稿連載 2017/05/30読売新聞掲載)

 最終回は、定石後の変化についてお話ししましょう。

 【テーマ図】3子で指導を受ける方はよく勉強されているので、白7のハネ出しに対しても定石どおり、黒26までしっかり対応してきます。しかしここで白27と掛けてみると、正しく応じられる方が少ないのです。

 【1図】黒1とこすまれる方が7割以上でしょうか。次に黒6からの出切りをにらんでいるのですが、白2と当て込まれると黒3のノビが余儀なく、白4、6を利かされてしまいます。
 そして白8の要点を占められると、左辺の黒が攻められる展開となって白ペース。黒が歓迎できる流れではありません。

 【2図】黒1と出て白2と換わり、そこで黒3にグッと戻るのが正着。これが本筋というもので、こう打たれたら「この人の3子をこなすのは厳しいかもしれない」と覚悟します。

 【3図】白1のツギなら、黒2と上辺を滑ります。この図と1図の違いは、黒からAのノゾキが利く点です。これによって黒は中央での力関係で引けをとらなくなっているので、この後を互角以上に戦えるのです。

 【4図】白1と押さえられても心配ありません。黒2と切って白3と換わり、黒4、6と上辺を生きます。白Aのシチョウが成立しないので、黒有利の戦いであることは明白です。
(おわり)

●メモ● 菅野六段に囲碁上達法を尋ねると「詰碁に尽きます」との即答があった。「非勢な側は必ず無理をしてくるので、それをとがめられるかどうかが勝負を決めます。そのために詰碁で読みの力を鍛えてください。10秒でわかるレベルの簡単な問題を、地道に繰り返すことです」とのアドバイスあり。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】