上達の指南

茅野直彦九段の「急場の基本」

(2)双方の急所こそが絶好点

(寄稿連載 2006/04/17読売新聞掲載)

 「急場」は急を要する場所ですが、双方の急所でもあります。どちらから打っても好点ですから、急がなくてはなりません。アマチュアの方は往々にして、戦いが始まってからも急場を見逃し、大場に行きがちです。

 【テーマ図・白番】 布石からそろそろ中盤に入ろうかという局面です。大場が数か所目につきますが、急場は1か所しかありません。

 【1図】 白1が逃せない厳しい打ち込みで、急場の一手です。
 黒は2とつけるしかありませんから、白3、5と渡り、黒6に白7が肝要です。続いて黒8のカカリに白9と受け、黒10には白11という調子です。
 次に白イの切りとロの肩ツキを見合いにして、白は十分戦えるでしょう。なお、白7を手抜きするのは、黒ハ白ニ黒7白ホとヘコまされ、黒ヘで白耐えられません。

 【2図】 1図白3のノビはやむを得ません。本図の白1と割り込むのは、黒2、4と抱えられます。白5に黒6ツギとなっては、白さっぱり。
 黒2で3と押さえてくれれば、白2黒イ白5の渡りとなって白の注文どおりですが、これは勝手読みです。
 なお、通常は白5の切りに黒ロと取るものですが、この場合は白6と当てられるので黒6のツギが正しいのです。

 【3図】 白1の詰め、または白イの開きは大場です。
 しかし、黒2のコスミが絶好点となり、白3のコスミが欠かせません。黒2のコスミが打てれば白ロの打ち込みが解消されますから、黒はテーマ図イのコスミツケに回り、白ロに黒ハの押しとなって黒が主導権を握ります。

 今回で基本の急場を終え、次回から私の実戦を題材にした、プロの碁における急場を学んでいただきます。

●メモ● 茅野九段は7月で69歳になる。健康法はゴルフ。月に2、3回はコースに出る。近ごろ、スコアは落ちる一方というが、それでも90前後で回る。好きなクラブはアイアンで、バンカーショットが得意。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】