上達の指南
(2)恐れず攻めを継続する
(寄稿連載 2011/07/05読売新聞掲載) 碁においては「石の強弱」を見分ける判断力が何よりも大切です。特に置き碁の序盤では石数が有利ですから、恐れることなく白を攻める――。これが置き碁の必勝法です。
【テーマ図】 黒14は次にAのノゾキを見た手で、白は15によってその狙いを封じました。ここで黒にはしっかりと攻めを継続してもらいたい。その具体的手段は――。
【1図】 黒1の飛びは攻めの姿勢こそうかがえますが、形の急所を逃しました。
白2のコスミツケが整形の筋で、黒は3と引くくらい。白4と当て込まれては一気に眼形が豊富となり、白6、8となってはもう攻めが利きません。これまで打ってきた石が働かなくなっているので、黒の失敗は明らかです。
【2図】 黒1のハネが白の弱点を突く急所で、全体の白を攻め上げる好手となります。続いて白Aなら黒B、白C、黒Dとして、EとFの出が見合いとなるので大成功。
【3図】 従って白は1の当て込みが筋となりますが、黒は2と伸びているくらいでも十分です。黒6まで立派な確定地を得た上、黒2によって左上の一団が安泰となっていることが見逃せません。その点で1図とは大きな違いがあるのです。
【4図】 黒1と当て、さらに白を追及する手もあります。黒9までが想定されますが、黒AとBという二つのノゾキが利くのが自慢で、これまた黒が大いに満足できる進行です。
●メモ● 金八段は、張栩棋聖や山下敬吾本因坊などと同じ世代。低段時代から将来を嘱望されてきたが、あと一歩の壁を打ち破れない。これに勝てばタイトル挑戦、リーグ戦入りという一戦をことごとく落とし、ひのき舞台への登場を逃している。今年こそは――。